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取引履歴関係_質問と回答

全期間すべて開示されますか

不完全開示

取引履歴の保存期間を超える部分について開示されません。そして,取引履歴の保存期間は貸金業者毎に異なります。消費者金融会社は非常に古い時期(昭和年代)から取引履歴を保存しており,信販系会社は平成一桁第頃以降の取引履歴のみを保存している傾向にあります。そのため取引期間が20年前後を超える取引の場合,対象となる貸金業者によっては全期間の取引履歴が開示されない場合があります(不完全開示)。

なお,過払い金返還請求の対象とならない取引(法定利率内取引)については取引履歴が開示されない場合がありますが,法定利率内取引であるため通常は開示されなくても問題はありません。ただし,途中から法定利率内取引に切り替えられた取引の場合,切り替え前の取引と一連の取引と認められる場合があり,その場合は,切り替えられた後の法定利率内取引の履歴の開示を受ける必要があります。

不完全開示の態様

不完全開示の態様は大きく以下の2つに分けることができます。

  1. 単純に取引途中から始まっている場合
  2. 保存期間外の取引の貸付・支払の一方又は双方が抜けている場合
  3. 貸金業者が一方的に過払金が発生しない取引として開示しない場合

1の場合,多くは履歴で不完全開示であることが明らかとなります。

これに対し,2の場合は一見して不完全開示か分からない場合があります。当事務所では履歴上不完全開示か明らかではないが不完全開示の可能性のある取引については,依頼者に開示範囲が記憶と一致するか,古い資料の有無を確認しています。

最後に,3は,貸金業者が法定利率内の取引であるから過払金は発生しないと判断して開示してこない場合です。例えば,超過利率の取引を続け(取引1),途中で,法定利率内の取引に切り替え(借換え)て更に取引(取引2)が続いているとき,取引1,2は,一連の取引と評価できれば,取引1,2全体を通じて過払金が発生するので,取引2の履歴の開示も必要になります。ところが,取引2は法定利率内だから過払金は発生しないと一方的に判断して,取引2の履歴を開示してこない,あるいは,不完全に開示してくる例があります。

契約日情報の有無

不完全開示の場合,いつからの取引かがわかりません。しかし,貸金業者によっては契約日の情報は保存しており,その情報の提供を受けることができます。

取引履歴以外の資料の開示

取引履歴が不完全である場合でも,契約書や契約関係の情報等が保存されている場合があります。これらの資料の開示を受けることで「推定計算」の資料とすることができる場合があります。

 

開示された内容は信用できますか

「開示された履歴の内容が記憶と違う,あるいは記憶にない入出金があるから,貸金業者が有利に取引内容を改ざんして虚偽の履歴を開示しているのでは?」と質問される方が,少なからずいます。

しかし,現在,貸金業者が都合良く経過を改ざん,ねつ造して虚偽の履歴を開示することは考えられず,当時の利用明細書の記載内容と齟齬がある等,客観的な資料に基づかない限り,虚偽の履歴開示であると主張することはできません。

経験上,ほぼ本人の記憶違いです。

貸金業者が虚偽の履歴を開示するリスクを冒す理由に乏しい

貸金業者(特に主要な貸金業者)が保存している帳簿の内容と異なる,取引の経過を改ざん,ねつ造した虚偽の履歴を開示することは考えられません。

最高裁が平成17年に貸金業者に取引履歴開示義務があると判断しており,取引の経過を改ざん,ねつ造して取引履歴を開示をすれば,貸金業者が行政処分を受けるおそれがあります。そのようなリスクを犯してまで,虚偽の取引履歴の開示をする理由がありません。

これは,貸金業者側から考えれば分かります。

貸金業者が取引履歴の開示請求を受けたとき,請求をしてきた顧客がどのような資料を保存しているか貸金業者は知りません。顧客はなにも資料を保存していないかもしれません。そうであれば,デタラメの履歴を開示してもばれないでしょう。しかし,一部又はすべての利用明細書や引落口座の通帳を保存しているかもしれません。後で見つかるかもしれません。仮に,資料を保存していたり,後で見つかった場合,開示した履歴がそれと明らかに異なっていれば,簡単に虚偽の開示であることが立証されてしまいます。

虚偽の履歴開示が立証されれば行政処分のリスクがあります。顧客がどのような資料を持っているか分からず,また,今後何が見つかるか分からない状況で,一か八か,虚偽の履歴を開示してみるなどということは考えにくいことです。

貸金業者がリスクを冒して虚偽の履歴を開示する理由に乏しいということは,虚偽であることを主張する側が虚偽であることを積極的に立証していかなければならないことを意味します。

記憶ほど当てにならないにものはない

開示された履歴が虚偽ではないかと疑う人が挙げる根拠は,ほとんどが「記憶と違う」「記憶にない」というもので,保存していた当時の利用明細書など客観的な資料に基づくものではありません。

しかし,「記憶」ほど当てにならないものはありません。

本人が「絶対に解約していない」と確信を持って言うので,その通り主張したところ,あっさり契約書の返還を受けた署名のある受領書が証拠提出されたり,本人が「途中で再契約したことは一切ない」と言っていても,署名のある契約書や当時提出した免許証の写しが証拠提出されたり,「途中で完済したことはない」と言っても,引落記録を見ると取引履歴の中断期間と一致する期間,引落がされていなかったり,記憶違いであることが明らかになる例は非常に多く,これに対して,本人が記憶と異なるとする部分について,記憶と合致する客観的な資料を持っていることは,まず,ありません。

他の業者との取引と混同していたり,キャッシング取引ではないショッピング取引や法定利率内のカードローン取引と混同していたりすることも多くあります。

数年間の入出金をすべて記憶している人はいないといって良く,それは,預金口座の入出金を全部覚えている人がいないのと同じです。

合理的な根拠が必要

記憶だけに基づいて開示された履歴が虚偽であると主張しても,裁判所に相手にされません。また,軽率に,法廷で,改ざん・ねつ造を主張することは,それ自体が問題になりますので,当時の利用明細書など客観的な資料がない限り,安易に虚偽の履歴開示であると主張することは避けなければなりません。

相手が不当な利得を得ているとして金銭の支払いを請求する以上,履歴の記載内容が虚偽であると主張するには合理的な根拠が必要であり,記憶だけでは,虚偽の主張をすることはできません。

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