一次感染者 要件4

母子感染ではないこと

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趣旨

B型感染ウイルスの感染は母子感染が最も有力な原因とされています。

B型肝炎ウイルスに持続感染していること(要件1),昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること(要件2要件3)を証明できても,最も有力な感染原因とされる母親からの母子感染である可能性を排除できなければ,集団予防接種等によりB型感染ウイルスに感染したことを証明したことになりません。

そこで,まず,B型感染ウイルスの最も有力な感染原因である母親からの母子感染ではないことを証明する必要があります。

証明方法

原則は①により証明します。①による証明ができない場合は,②又は③で証明します。

①母親の血液検査結果(原則)

母親のHBs抗原が陰性,かつ,HBc抗体が陰性(又は低力価陽性)の検査結果

※母親の血液検査結果により,母子感染ではないことを証明するのが原則になります。

※母親が死亡している場合は,母親が80歳未満の時点のHBs抗原陰性の検査結果のみで可。80歳以上の時点の検査の場合は,HBs抗体も合わせて確認することが必要(HBs抗原の陰性化(持続感染しているがウイルス量が減少して検出されなくなること)が無視できない程度に発生することが知られているため)。

医学的知見を踏まえた個別的判断(例外)

母親が死亡しており,母親の血液検査結果が出せないため①による立証ができない場合でも,医学的知見を踏まえた個別的判断として,母子感染ではないことを認定できる場合として,次の②,③のケースが設けられています。

②年長の兄姉の内,一人でも持続感染者でない者がいること

B型肝炎ウイルスには感染力の強弱があり,弱くはなりますが強くはなりません。そのため,年長の兄姉にB型肝炎ウイルスに感染していない者がいる場合,仮に母親がB型肝炎ウイルスを保有していたとしても,B型感染ウイルスに感染していない年長の兄姉が出生した時点で,その感染力は弱くなっていたことになります。感染力は強くならないことから,その後生まれた本人にB型肝炎ウイルスの感染が確認されたとしても,それは母親からの母子感染によるものではないと考えることができます。
 これに対して,年少の弟妹にB型肝炎ウイルスの感染者でない者がいても,本人に母子感染した後,母親のB型感染ウイルスの感染力が弱くなり弟妹には感染しなかった可能性があるため,本人のB型肝炎ウイルスの感染が母子感染によるものではないことを示す事実にはなりません。
 そのため,母子感染ではないことを示す事実として,年長の兄姉のうち一人でもB型感染ウイルスの感染者ではない者がいることが要件とされています。

③その他医学的知見を踏まえた個別的判断ができる場合

厚生労働省が挙げる例として,原告が双子の兄であり,母親は死亡しているが,双子の弟が未感染である場合があります。

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