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和解額はどのように決めるのですか(解決基準)

有意な争点があるか,根拠のない譲渡はしない

根拠のない譲歩はしない

当事務所の解決基準は,裁判で認められる最大の額です。

計算方法は,裁判上確立している依頼者に最も有利な計算方法(「利息充当方式」)を採用し,裁判上認められる過払い金元本と支払日までの利息の合計額です(争う実益のない端数のカットはあります)。

「根拠のない譲歩」と「根拠のある譲歩」

過払金返還請求には様々な争点があります。貸金業者の主張には,およそ認められない争点から,裁判所の判断が分かれている争点までさまざまな争点があります。

裁判ではおよそ認められない(又は認められる可能性が低い)貸金業者側の主張を考慮して減額することを,当事務所では「根拠のない譲歩」と捉えて,そのような譲歩はしません。例えば,利息非充当方式,無利息方式での計算の主張や,裁判で取引分断と認められる可能性の低い分断の主張などがこれに当たります。

これに対して確立した最高裁判例がなく,裁判例が分かれている争点があり,貸金業者の主張,証拠関係から,上級審まで含めて判決で貸金業者の主張が認められる可能性が高いと思われる場合,その争点で負けた場合のリスクを回避するため一定の譲歩する必要が生じます。このように有意な争点を考慮した譲歩を根拠ある譲歩と捉え,依頼者と協議して譲歩幅を決めます。

なお,裁判上認められる額の○○割という話を聞きますが,それは単なるディスカウントなので,当事務所では行っていません。

以下に争点毎の当事務所の基本的な解決基準を記します。

なお,方針として採用する解決基準であり一定の結果をお約束するものではありません。

争点:取引の一連性(取引の個数)の基準

1.一連取引について

明かな一連取引,取引分断の主張に根拠がない取引については,一連取引として返還日までの利息付加した額の全額又は争う実益のない端数カット程度で和解できる場合には,特にご連絡することなく和解します(端数カットもしたくない場合にはそのご希望をご依頼時にお知らせ下さい)。ただし,金額が満額でも,返還日が先になる場合(判決を得た方が早くなる可能性がある程度に先の返還日となる場合)には,その返還日で和解して良いか事前に確認させていただきます。一連取引でその貸金業者の経営状況に問題がない場合,特に減額する必要はないと思われます。

2.明白な分断取引について

一連取引として返還日までの利息を付加した額での回収ができない場合(分断取引であることが明白な場合)は分断取引として返還日までの利息を付加した額で和解せざるをえませんが,その場合には,事前に,依頼者に一連取引としての回収ができない理由をあらかじめ依頼者に連絡し,分断取引としての和解で良いかを確認させていただきます。

3.分断取引となるリスクがある取引について

分断取引であることが明白ではないが分断取引とされるリスクがある場合に分断計算の額よりも大きい額の回収が可能な場合があります。例えば,貸金業者側からすると判決で一連取引とされるリスクがあり,依頼者側からすると判決で分断取引とされるリスクがあり,そのいずれとなるか明確に予測できない場合などです。この場合,双方の主張額から互いに譲歩しあった額で和解が可能な場合があります。リスクの大小に応じて,双方主張の中間額であったり,一連計算に近い額であったり,分断計算に近い額であったりします。この場合,訴訟を進めて判決で分断取引と判断されると和解しておいた方が回収額が大きかったと言うことになりかねません。他方で,判決で一連取引と認められる可能性を放棄して和解することにもなります。そこで,このように分断取引であることが明白ではなくが,分断取引とされるリスクがある取引について,分断計算の額よりも大きい金額での和解が可能な場合には,あらかじめ,依頼者にその理由を伝え,分断取引となるリスクを負って訴訟を続けるか,分断取引となるリスクを回避して譲歩した額で和解するか,その意向を確認させていただいています。一連計算の額か分断計算の額のいずれかかというだけでなく,分断取引となるリスクのある取引でも,そのリスクの大小に応じて和解額を決定することになります。分断取引となるリスクの大小は訴訟中心の回収作業を通じて得た経験がなければ判断できません。分断取引とされるリスクを回避して一連計算の額から譲歩した額での和解に応じる方とリスクをおってあくまで一連計算の額の追求を希望される方がいます。

争点:過払金利息(悪意の受益者)の基準

当事務所では,有利息,過払金元金・過払金利息充当方式による金額を基準とした額を解決基準としています。貸金業者は必ず過払金利息を争ってきますが,無利息方式による解決はあり得ません。元本のみや元本以下の解決,端数を超える利息のカットも行いません。また,利息充当方式よりも金額が少なくなる計算方法(無利息方式や利息非充当方式)での解決,これらの方式による額を考慮した譲歩(例えば中間額など)は行いません。

過払金利息を否定する貸金業者の主張は,認められることがほぼない,貸金業者側も本気で争っていない,無意な(言ってみただけで認められるとは思っていない)争点です。

争点:推定計算の基準

取引毎に資料の有無,内容は異なるため,資料から推定計算による金額が認められる可能性の大小を考慮して個別に決めていきます。推定計算での回収額はときに履歴上の額の200%~300%となるので,当事務所では,推定計算は可能な限り行い,取引履歴入手後,不完全開示と思われる取引(丸井,ニコス,セゾンなどに多い)については必ず依頼者に資料の有無を確認しており,その確認を省略して履歴の範囲での回収をすることはしません。

争点:他の有意な争点の基準

和解契約による過払金返還請求の消滅,貸付停止措置による消滅時効の成立,債権譲渡・契約切替,不動産担保ローンへの切替え,回数指定払い(一回払い)の一連計算,複数取引間の充当計算(相互充当方式)など,任意の和解交渉では極めて大幅な譲歩を迫られる争点がある場合でも(貸金業者側の計算を飲まないと和解が成立しない場合でも),訴訟を回避して貸金業者側の計算で解決をすることはありません。積極的に提訴して判決での解決を図ります。

貸金業者の主張内容,提出された証拠内容等から,判決内容の予想に応じて,個別に,和解額,譲歩幅を相談させて頂きます。